長崎県立大学新聞会
CAFE CLUB
cAFE CLUB
珈琲貿易
営業時間 12:00-20:30
定 休 日 火曜
住 所 長崎県佐世保市勝富町5-21
電話番号 0956-23-5141
「コーヒー(珈琲)」という言葉は、アラビア語の「カフワ」が転訛して成立した言葉だという。その「カフワ」は、元々はワインを指す言葉で、「欲を削ぐもの」という意味を持つ。ちょうど、勝富町の「珈琲貿易」さんに来ると、ピタリと欲が静まるから不思議だ。
1981(昭和56)年のオープン時から、ほとんど変わっていないという店内は、芸術肌のご主人の趣向に任せたものだ。「自分自身にとって居心地の良い空間を目指した結果です。まずは、自分が空間に満足できないと、お客さんには満足してもらえないですから」(ご主人)。
雑貨やヴィンテージものが佇む店内は、どこを撮影しても、見事に画になる空間だ。お店の中央にある大きな時計は、ご主人が高校2年生のとき、工業高校から譲り受けたというもの。雑貨たちはそれぞれの時代を帯びながらも、カフェとなって、今を生きる訪れる人に寄り添う。
35年に渡り、変わらずにいてくれるのは、メニューも同様だ。ご主人特製のユニークなメニュー表は、注文したいものばかりが並ぶので、必ず次も来ようとする機会が提供されてしまう。「貿易ブレンド」やコクのある「カレーセット」、奥さんが担当の「チョコレートケーキ」は特に絶品だ。
「隠れ家」としてのコンセプトを大事にするお店にもかかわらず、年配の方から若者まで訪れるのは、それだけ地域に根付いている証だ。35年も地域を担っている間に、常連客も子や孫の代へと連鎖が続いている。
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特定の時代やスタイルに偏重しないからこそ、あらゆる時代を誘える心地良さに包まれる。この心地良さの満足の裏返しこそ、まさに「カフワ(欲を削ぐもの)」だ。満ち足りることで、落着にゆるりと浸ることができる。珈琲貿易さん側の圧倒的な「片貿易」に安住して、今日も白くなった珈琲を啜る。
(平成28年3月)