長崎県立大学新聞会
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SPOT
音 浴 博 物 館
人生に音楽が染み込み、
新しい思い出をまとって、
また人生にレコードされていく――
Lead
Sentence
西海市は「音浴博物館」さん。
ここは、16万枚以上あるレコード、
新旧兼ね備えたプレーヤーとを自由に利用することができる、
音楽好きには堪らない空間だ。
往年のレコード
聴き放題の世界
¦「棚からひとつかみ」と
¦「最高の音質」とを楽しむ
廃校となった小学校の校舎を改装して作られた音浴博物館は、
100年以上前のプレーヤーや蓄音機、福山雅治さんのデビュー曲として知られる『追憶の雨の中』のキャンペーン用レコード(非売品)も展示されていることでも知られている。
展示を案内される中で、あの「前畑ガンバレ」の音源を聴いたときには、歴史を耳で味わうことを知った。
思えば、ジュークボックスやオートチェンジャープレーヤーと、
染み込まれた時代が音楽として息吹かれがら陳列されているようだ。
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フランク永井さんや山下達郎さん、杏里さんや泰葉さん……を、
「棚からひとつかみ」で、まさに「最高の音質」で楽しむ。
50年代のスタジオモニター「Victor Audiola」は、音楽界の世界遺産とも謳われている。
¦人生に音楽が染み込み、
¦ 新しい思い出をまとって、
¦ また人生にレコードされていく
今ではリマスターやリミックスが当然の傾向となっているが、
僕らの知らない「あの頃」のレコードにある雑味は、
レコーディング風景や歌い手の息吹が優しく流れる、
そうした、作品に込められた、空気を揺らし和ませる体温そのものだ。
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音浴博物館のパンフレットにあるように、
「記録する」という意味の「レコード」は、
ラテン語では「心を呼び戻す」との意味を抱いている。
音楽に、人生や心模様を染み込ませて、
今日も音楽を積み重ねて、人生が広がっていく。
音楽が思い出や感情を探る度に、
今度はその音楽が新しい記憶として、
人生に今日も記録されていくのだ。
その音楽の伝いは、ちょうど音浴博物館で圧倒された、
Simon and Garfunkelの「明日に架ける橋」のように強く優しい。
それでも音楽は、続いていくのだと。
文・撮影・ページデザイン/新井 輝