長崎県立大学新聞会
SPECIAL INTERVIEW
INTERVIEWEE
F 太
【F 太(えふた)】
■30代。宮城県生まれ
■大学を卒業後、公認会計士の勉強をしながら、Twitterで情報発信をはじめる。
■現在は、ウェブサイトの運営や執筆を行う傍ら、月に一度のイベントとして、池袋の「Cafe YORUTO」にて「1Dayカフェ」もおこなうTwitterの活用法などをアドバイスするウェブコンサルタントとしても活躍中。
■Twitterでは「なぜかフォローしとくと運が良くなる」と密かに話題なアカウントでもあり、過去の呟きを厳選したアカウント「ひらめきメモ」の中の人としても有名。
「寂しさ」を埋めるために始めたTwitter―
――Twitterやラジオ、イベント活動など精力的に活動されているF太さんですが、いつ頃からこういった活動をされているのでしょうか。
5年くらい前からTwitterを始めました。当時(大学4年生の頃)は、公認会計士の勉強を頑張っていました。一人で勉強するのは寂しかったので、勉強仲間が欲しいな、という感じで始めたのがきっかけです。ラジオとかイベントを企画し始めたのは、個人事業主として独立して、時間もできるようになった2年前からです。
なので、仰々しく「よしやるぞ!」という感じで始めた訳ではありません。「最近、ミニブログなどが流行っているな」と感じている頃でしたし、元々情報発信やブログをしてみたかったんです。
有名人になれたらカッコいいなといった、みんなと同じような理由でブログなどを始めました。ただ、ブログは全然続きませんでした(笑)。長文を書いたり、「てにをは」を気を付けたり、タイトルを考えたりというのが面倒くさくて、なかなか続かなかったです。Twitterは140字しかなくて、逆に気楽に書けたので、続いたのかなと思います。
――「F太」という名前はどこから来たのでしょうか。
それは本名からですね(笑)。本名をイニシャルに変えただけです。
元々、Twitterは本名でやっていました。
公認会計士の勉強を一緒に頑張ってきた友達と「あの頃は大変だったね」と、当時を振り返ってみたかったという思いもあり、本名で活動していたんです。ただ、フォロワーが段々増えてきてから、少し怖くなって、「匿名でやった方がいいな」と思って、名前を変えることにしました。
――どういうイメージ、キャラづくりがありますか。
「ガチガチにこうやりたい」、「こういうキャラ」というイメージは無いです。ただ、中学生の頃から情報発信をしたいなとは思っていて、当時から「情報として価値があるのかどうか」ということを気にしながら書いています。
昔から、一人で悩んでいたときに自分の考えていることをA4用紙などにずらーっと書くことを延々とやっていました。「文章で考えを整理する」ということはずっとやっていたんです。
でも、自分がこうやって悩んで書いていることの中には、他の人にも役に立つ情報があるだろうと思って、その一部をいろいろと試行錯誤しながら、昔から情報発信していました。とはいえ、自分で考えていることをそのまま書くわけにはいかないじゃないですか(笑)。
それは単なる愚痴であったり、直接名指しで書き散らかしていたりもするので……。
なので、誰にでも当てはまるように、「こういう気持ちになったら、こう考えると良いらしい。こう行動するとうまくいった」というように一般化して書くようにしていきました。
それから、これは決まり事という訳ではないんですが、一人称を「自分」にしています。そう書くと、誰にでも「自分事」として読んでもらえるかな、と思ったからです。自分のことを書いていても、読者にも自分自身の事のように読んでもらえるように書いているつもりです。
F太さんって、どんな人?―
――「なぜTwitterのアイコンが猫のキャラクターなんですか。
猫が好きだからです!
それに、自分がつぶやく内容とどうしても「意識高い系」にとられがちな内容が多いので、アイコンが実写や生写真だと、上から目線というか、偉そうに感じてしまうと思います。アイコンがちょっと可愛い系のキャラクターなので、受け入れられやすいのかな、とは思っています。
サークルに馴染めず、
バイトばかりしていた学生時代―
――どのような学生時代を過ごしていましたか。
結構、バイトをしていましたね。
あんまりサークルとかには馴染めなかったんですよね。テニスサークルや、いわゆる「ウェイ系」のサークルや、逆に新聞会さんのようなカチッと活動している サークル、色々行ってみました。ですが長続きはしなかったですね。自分、もしかしてコミュニケーション能力無いのかな、と不安になりました。
漠然とですが、コミュニケーション能力が大事だ! と思って、ダーツバーのような、お客さんとコミュニケーションが取れるバイトを多くしていました。それ以外は、わりと一人でいることが多かったですね。読書やインターネットをしたり、文章を書いたり。一人で、自分の考えていることを図書館でひたすら書くなど、そういうことばっかりしていたような気がします。
――ダーツバーはウェイ系が多くなかったですか。
ダーツバ―は、お客さんの年齢層が高そうなの場所を選んでいました。そういう場所の方が得る物があるかなと思ったので。30後半~50代くらいの人が集まる、吉祥寺のダーツバーで働いていました。
文章を書く際の秘訣は2つ
「読み手」と「伝えたいこと」―
――F太さんの文章は、頭にスっと入ってくるような、シンプルで分かり易い文章だと感じるのですが、文章を書く際の秘訣を教えて下さい。
そうですね、「ひらがなで書く」ですかね。
ひらがなで書こうとすると、難しい言葉を使えないじゃないですか。難しい言葉を使えないので、文章が易しくならざるを得ないんです。結局のところ、「分かりやすい」とは、「どのような人たちにとって分かりやすいのか」を考える必要があります。ひらがなで書くと文字数も増えるし、表現もまどろっこしくなります。難しい言葉を使えば、ひとつの単語にたくさんの情報をぎゅっと詰め込めるので、文字数も少なく、表現もシンプルにできます。
例えば、アドラー心理学でいうところの「貢献感」という言葉をそのまま使っても、「貢献感」という言葉を知っている人にしか伝わりません。僕はTwitterでアドラー心理学を知らない人にも、僕自身がアドラー心理学の本を読んで考えたことを伝えたいので、「貢献感」という言葉を使わずに、例えば「やってあげている感じ」とか、「人の役に立っている感じ」などと表現を変える必要があるわけです。
どんな人たちに向けて文章を書いているのかを常に意識しないと、「分かりやすい文章」は書きようがありません。僕の場合は、できるだけ沢山の人に分かってもらいたいので、必然的にひらがなばっかり使う、という方向になりました。時事問題だったら、読む人がある程度バックグラウンドを知っているのか、そうじゃないのかで、書かなければならない量がかなり変わるはずです。だから、そうですね……、文章を書く秘訣は、「どのくらいのバックグラウンドの知識を持っている人を想定しているのか」ということをイメージして書く、というのもコツの一つですね。
Twitterで、単純にできるだけたくさんの方にフォローして欲しい、と思うのなら、ひたすら分かりやすくて、今、流行っているネタを使って情報発信すればいい、ということになると思うんですけど、専門的な分野を勉強、研究している人の中には、むしろ専門的な分野の人たちとつながって、自分を知ってもらうような使い方をした方が良い人たちもいると思います。
その場合、例えば時事問題や政治の分野に詳しい人たちに知ってもらいたければ、あえてそういう分野の言葉を積極的に使った方が良い。
僕の場合は、「自分を変化させたいと思っているけれど、いそがしくて本を読んだり情報収集するひまがない」という人たちをイメージしています。そうすると、例えばアドラー心理学の本に書いてあることをそのまま書いてもなかなか伝わらないので、自分自身の生活や体験に落とし込んで、できるだけ日常的な言葉で書くことをこころがけています。
アドラー心理学の言葉を沢山使えば、アドラー心理学について勉強している人と知り合えるとは思います。でも、僕の場合はそういう専門的な層の人たちと深くコミュニケーションをとることが目的ではないので、あまり専門的な言葉は使いません。